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《なぜ10年もの年月がかかったのか?》

お掃除ロボットに“国産”“日本製”が少ない理由について考察してみました。

シャープがお掃除ロボット「COCOROBO(ココロボ)」を発表し評判になっています(2012年6月7日発売)

→ ココロボ RX-V100(シャープ)の比較と評価
→ ココロボ RX-V80(シャープ)の比較と評価

音声認識機能やスマートフォンとの連携など先進的な機能が注目されていますが、「COCOROBO」が話題になる最大の理由は、待望の“日本メーカー製”ロボット掃除機ということだと思います。

これまではルンバに代表される海外メーカー製の掃除ロボットしか選べなかったわけですから“国産”“日本製”が大きな関心を集めるのは当然でしょう。

しかし、ルンバが発売されたのは2002年です。

ところが、東芝が「Smarbo(スマーボ)」を発売したのは2011年。シャープの「COCOROBO」は2012年。ルンバ発売から実に10年近いブランクがあった訳ですが、なぜそこまで時間がかかったのでしょうか?

大人の科学マガジンVol.33(卓上ロボット掃除機) (学研ムック 大人の科学マガジンシリーズ)」に掲載されたサイエンスライターの森山和道さんが書かれた記事によると、技術的には海外に負けていない日本メーカーがロボット掃除機を発売しなかった理由は3つ考えられるそうです。

一つ目は「ロボット掃除機が物を壊す可能性」、二つ目は「内部に詰まったホコリによる発火の危険性」、三つ目は「2005年まで市場規模が小さかった」というもので、近年、国内メーカーがロボット掃除機市場に参入している理由は、ルンバの成功により自動掃除機が一般に認知され市場規模が拡大していることが原因なのだそうです。

また産経新聞に、このような記事が掲載されていました。

→ 日本の家電各社が「ルンバ」を作れない理由 国内製造業の弱点はそこだ!! – SankeiBiz(サンケイビズ)

国内家電メーカーがお掃除ロボットを発売しない原因は「過剰なリスク回避」にあると分析しています。

パナソニックの担当者は「技術はある」としながらも「100%の安全性を確保できない」ことが商品化しない理由だと説明しています。具体的な事例として「仏壇にぶつかりロウソクを倒して火事になる」「階段から落下して下にいる人に当たる」「赤ちゃんの歩行を邪魔して転倒させる」などのリスクが挙げられており、これは森山和道さんの指摘と一致しています。

しかし「事故を起こす可能性がある」という理由で自動車メーカーが新車発売を中止したという事例は知りません。また「ネット犯罪に利用される」という理由でパソコンの発売が止められたという話も聞いたことがありません。

日本企業が発売しない理由が「ロボット掃除機特有のリスク」とは今ひとつ信じられないのが正直な気持ちです。現に、成長著しい韓国の「サムスン(Samsung)」や「LG電子」はロボット掃除機を発売しているので、パナソニック担当者の説明は逃げ口上のように感じられます。

つまり、これまでの日本メーカーはロボット掃除機のような「海の物とも山の物ともつかない分野」には興味がなく、テレビや液晶パネルなどの「主力商品」の現状維持に腐心していたということなのでしょう。「リスクを極端に嫌う」のは製造責任の問題よりも、新市場を開拓する覇気に欠けるという意味なのだと思います。

前述のパナソニック担当者は「海外企業のように、時にはアグレッシブにやることも必要だと感じる」と本音を明かしていますが、残念ながら気づくのが遅すぎると思います。その結果は、国内家電メーカーの大赤字として現れています。

ここにきて腰が重い日本メーカーが、ロボット掃除機市場への参入に至ったのは、それだけ状況が切羽詰まっているのでしょう。しかし、海外メーカーはずっと先を走っています。

果たして日本企業は追い付くことができるのでしょうか…?

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