「シャープ ココロボ RX-V80」は、シャープ株式会社が発売する同社初のロボット掃除機です(2012年6月7日発売)「RX-V80」は、ハイエンドモデル「ココロボ RX-V100」に搭載されるコミュニケーション機能(音声認識・スマートフォン連携・言語選択・LEDライト・USBポート)を省略して価格を抑えたスタンダードモデルです。
後継機種は「シャープ ココロボ RX-V90」です(2013年6月発売)
目次
製品情報
SHARP ロボット家電 COCOROBO シルバー系 RX-V80-S
「ココロボ RX-V80」は、上位モデル「ココロボ RX-V100」のコミュニケーション機能(音声認識・スマホ連携・言語選択・LEDライト)を省略して価格を抑えた普及モデルです。基本的な掃除システムは「RX-V100」と共通になっています。「ココロボ RX-V80」の本体カラーはシルバーです。
「ココロボ(COCOROBO)」シリーズはシャープが新たに提唱する“ロボット家電”の第一弾として発表されたお掃除ロボットです。単身・共働き・高齢者世帯の増加に合わせて、コミュニケーション機能を前面に押し出しているのが大きな特徴となっています。
ココロボには、室内の形状・広さを判断し自動で掃除を実行する「自動モード」の他に、「壁際モード」「スポット(1m)モード」「スポット(2~4m)モード」「プラズマクラスターシャワーモード」の全5種類の掃除モードが内蔵されています。掃除のアルゴリズムとして新開発の人工知能「ココロエンジン」を搭載し、充電量や掃除の状況に応じて、光や言葉、ダンシングによる多彩な反応が楽しめます。
ココロボの掃除システムは、2つのサイドブラシでゴミを集めて、床ブラシでかきこみ、バキューム方式で吸引する、多くのロボット掃除機で採用されている一般的なものです。さらにココロボは、既存のロボット掃除機の弱点である「吸引力の弱さ」「苦手な障害物への対応」「排気の処理」について、具体的な対策が行われています。
まず「吸引力の弱さ」に関しては、大風量を生み出す高速回転ターボファン(約14,000回/分)により吸引力を大幅に高めています。次に「苦手な障害物への対応」は、一般的な赤外線センサーの代わりに超音波センサーを採用。赤外線では発見しにくい透明なガラスや黒い家具なども回避しやすくなっています。
「排気の処理」は、ダストボックスに微細なホコリをキャッチするHEPAクリーンフィルターを採用。尚且つシャープの空気清浄機やエアコン、冷蔵庫などに搭載される「高濃度プラズマクラスター7000」を内蔵。掃除中にプラズマクラスターイオンを放出することでクリーンな排気を実現しています。
尚、上位モデル「RX-V100-W」に搭載のUSBポートは「RX-V80-S」では省略されています。このため、ソフトウェアのアップデートをユーザー自身が行うことはできません。
ココロボ本体とバッテリーの他に、充電台、リモコン、クリーニングブラシ、交換用サイドブラシ1セット(2個)が付属します。主な機能として、落下防止機能、自動充電機能、スケジュール機能、リモコン操作機能を搭載しています。
消耗品(別売)の価格は、「HEPA(ヘパ)クリーンフィルター」が税込2,625円、「回転ブラシ」が税込2,100円、「サイドブラシ(1個)」が1,050円、「クリーニングブラシ」が税込630円です。尚、ココロボのバッテリーは自分で交換できません。購入した販売店か「お客様ご相談窓口」に依頼する必要があります。バッテリー交換の目安は約3年です。
ちなみにココロボには、有料の「メンテナンスサポート」が用意されています。
→ COCOROBOメンテナンスサポート|ホームソリューション事業:シャープエンジニアリング株式会社
「バッテリー交換パック(バッテリー交換)」は税込15,750円。「消耗品KITメンテナンスパック(サイドブラシ交換・回転ブラシ交換・HEPAクリーンフィルター交換)」は税込8,610円。「お手入れパック(本体内部分解清掃)」は税込3,150円。「消耗品メンテナンスパック(サイドブラシ・回転ブラシ・HEPAクリーンフィルターのどれか1つを交換)」は525円+部品代となっています。
レビュー・評価
長所
「ココロボ RX-V80」は、障害物を発見する能力(超音波センサー)、強力な吸引力(ターボファン)、クリーンな排気(プラズマクラスターとHEPAフィルター)、バッテリーの強化(リチウムイオンバッテリー)など、ロボット掃除機の弱点に対してかなりの配慮が見られます。従来までのお掃除ロボットに不満を感じているユーザーに喜ばれる製品と言えるでしょう。
上位モデルの「COCOROBO RX-V100」は、音声認識やスマホ連携などの先進的な機能を搭載した代償として非常に高価(想定価格13万円)です。現実的には想定価格9万円の「COCOROBO RX-V80」が販売の中心になると思います。
短所
「ココロボ RX-V80」は価格が高いのが欠点です。シャープは音声認識とスマホ連携機能を搭載した上位モデル「RX-V100」を前面に押し出していますが、予想価格13万円と非常に高価なので市場想定価格9万円の「RX-V80」が実質的にルンバの競合製品となるはずです。
しかし国内トップシェアのルンバ最上位機種「ルンバ780」は実売価格6万~7万円です。従って店頭に並んだ際の価格差2万円は販売に相当な影響があると予想されます。知名度の高いシャープ製品とはいえロボット掃除機としては後発になる訳ですから、シェア獲得のため戦略的な価格設定をするべきだったように思います。
人工知能「ココロエンジン」についても疑問があります。「声に反応する」「ダンスをする」等、エンターテイメント方面に活用されるようですが、ココロボが室内をどのように判断してどのようなルートで掃除をするのか一切発表されていません。このサイトでたびたび申し上げているように、ロボット掃除機で最も重要なのは掃除のアルゴリズムです。詳しい情報はいずれ発表されるのかもしれませんが、現時点ではどの程度の賢さなのか全く判断できません。
またロボット掃除機に不可欠なバッテリー・フィルター等の消耗品価格も気になります。ココロボのバッテリーはリチウムイオン電池です。多くのロボット掃除機で使われるニッケル水素電池よりも寿命が長いのが特長ですが価格も高いようです。バッテリー寿命が2倍になったとしてもバッテリー価格が2倍であれば余り意味はありません(交換の回数は減ります)。ココロボの購入を検討する際に消耗品価格も確認するべきでしょう。
ココロボ RX-V100との比較
「ココロボ RX-V80」と上位機種「ココロボ RX-V100」の違いは、コミュニケーション機能(音声認識・スマホ連携・言語選択・LEDライト)の有無とボディカラーです。掃除性能に関してはどちらも同じなので、コミュニケーション機能が不要な人は、値段が安い「ココロボ RX-V80」を選んだほうが満足できると思います。
ココロボ RX-V60との比較
「ココロボ RX-V60」は2012年12月発売のココロボシリーズ最新モデルです。「ココロボ RX-V80」との違いは、ボディサイズ、バッテリー容量、ダストボックス容量となっています。ボディサイズは「ココロボ RX-V60」の方が直径を4.7センチ小型化しています。その代わりバッテリー容量とダストボックス容量が減少しています。最大掃除面積も20畳から16畳に減ったので、広めの部屋や複数の部屋を掃除させる場合は「ココロボ RX-V80」の方が向いていると思います。しかし本体がコンパクトな方が狭い場所にも入り込めるので、使い勝手は「ココロボ RX-V60」の上だと言えるでしょう。
また現時点(2012年12月)では「ココロボ RX-V80」の方が値引きされて販売されています(約2万円の価格差) バッテリー容量以外の機能・性能は同じなので、大きさが気にならないようでしたら「ココロボ RX-V80」を選んでも問題無いと思います。
ルンバ780との比較
「ココロボ(COCOROBO) RX-V80」と「ルンバ780」の価格差は約2万円です。「ココロボ RX-V80」には、「光と音声によるリアクション(人工知能ココロエンジン)」「プラズマクラスター」「リチウムイオンバッテリー」が搭載されています。「ルンバ780」には、これらの機能がありませんので比較検討されると良いでしょう。
また「ルンバ780」には、ゴミが多い場所を集中して掃除する「ゴミ検知機能(ダブルゴミセンサー)」、ロボットの移動範囲を制限できる「バーチャルウォール機能」、複数の部屋を平均的に掃除する「ライトハウス機能」がありますが、「ココロボ RX-V80」には、これらに該当する機能が搭載されていませんので注意が必要です。
スマーボ VC-RB100との比較
「ココロボ RX-V80」と「スマーボ VC-RB100」は、掃除中の動き方に大きな違いがあります。東芝スマーボはカメラで部屋の天井や壁を撮影し、通過したルートを確認しながら掃除します。このため、同じ場所を何度も通過することが少なく短時間に掃除を終えます。
一方、ココロボのほうは、各種センサーで室内を確認しつつ掃除をするタイプなので、どうしても掃除時間が長めになってしまいます。また、ココロボは強力なターボファンで吸引力を高めていますが、その分、掃除中の騒音が大きくなっていると予想されます。スマーボは約52dbの静音性をアピールしているので、静かな自動掃除機が欲しい人はスマーボを選んだほうが良いでしょう。
ホームボット2.0との比較
「ココロボ RX-V80」と「ホームボット2.0」は、掃除中の動作に大きな違いがあります。ホームボットは、上部と下部に搭載されたカメラによって現在位置を把握しながら掃除します。同じ場所を何度も通過しないので短時間で掃除を完了します。
これに対して、ココロボは多少のランダム性を持ちながらセンサーで室内を認識して掃除をする仕様です。なるべく掃除時間を短縮したい人はホームボットのほうが良いでしょう。またホームボットは下部のカメラでゴミを検出する「ゴミ検知機能」を搭載しています。これはココロボにはない機能なので必要性に応じて検討されると良いでしょう。
主要機能一覧
※メーカーにより機能の名称は異なります。
※機能の詳しい解説は「お掃除ロボットの主な機能について」をご覧下さい。
人工知能 | ◯ | ゴミ検知機能 | × |
---|---|---|---|
サイドブラシ | ◯ | 拭き掃除機能 | × |
床ブラシ | ◯ | 自動充電機能 | ◯ |
バキューム機能 | ◯ | スケジュール機能 | ◯ |
衝突防止機能 | ◯ | バーチャルウォール機能 | × |
落下防止機能 | ◯ | ライトハウス機能 | × |
からまり防止機能 | × | リモコン操作機能 | ◯ |
製品仕様
発売年月 | 2012年6月 |
---|---|
メーカー | シャープ |
型番 | RX-V80-S(シルバー系・シルバー) |
本体寸法 | 幅34.6センチx奥行き34.6センチx高さ9.6センチ |
本体質量 | 3.3キロ |
電源 | 入力:AC100V 50-60Hz共用 |
バッテリー種類 | リチウムイオン電池(Li-ion) |
バッテリー容量 | 16.0V、3.0Ah |
バッテリー寿命 | 約3年 |
充電時間 | 約4時間 |
消費電力 | 40W(充電時) |
稼働時間 | 約1時間 |
掃除面積 | – |
運転音 | – |
集塵容積 | 0.22リットル |
フィルター | HEPAクリーンフィルター |
乗り越え能力 | 約1.5センチ |