米Neato Robotics Inc.の日本法人「ネイトロボティクス株式会社(本社:東京都大田区)」は、日本市場への参入とロボット掃除機「Botvac(ボットバック)」シリーズを発表しました。製品ラインナップは「ネイト Botvac 85」「ネイト Botvac 75」の2機種です。
発売日は2014年10月4日(土)。ビックカメラグループ(ビックカメラ・コジマ)各店舗での先行販売となります。希望小売価格は「Botvac 85」が税別64,800円、「Botvac 75」が税別59,800円です。
目次
ネイト Botvacシリーズついての概要
「ネイト Botvac」シリーズを発表した米Neato Robotics Inc.は、2005年にカリフォルニア州シリコンバレーで設立されたロボットベンチャー企業です。
起業家支援制度を利用したスタンフォード大学の学生3名が創業に関わっており、2010年には初のロボット掃除機となる「Neato XV-11」を発売しています。
また今回の日本市場参入に先立って、2014年5月に日本法人となる「ネイトロボティクス株式会社」が設立されました。
同社製品のコアとなる技術はレーザーナビ技術「SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)」を活用した人口知能「Botvision(ボットビジョン)」です。
これはレーザーを照射して反射の具合で距離や形状を測定できる光学機器「レンジファインダー(Laser Range Finder)」を利用しており、室内を1秒間に1800回、360度測定して現在位置を把握、室内の「マッピング(地図化)」を行います。
地図に従って動くのでルンバのようなランダム性はなく、ジグザグ形の直線的な動きで効率よく掃除を実行します。また常に室内をスキャンするため、掃除中に家具が動かされたりドアが開いたとしても瞬時に判断して対応するのが特長です。
またルンバの「ライトハウス機能」のように、最初の部屋における掃除が終了すると、隣の部屋を自動認識して移動する「マルチクリーニング機能」、指定時間に自動で掃除を実行する「オートスケジュール機能」、掃除中にバッテリー残量が少なくなると充電台に戻り、充電後に同じ場所から掃除を再開する「自動再開機能(レジューム機能)」などを搭載しています。
掃除システムは「サイドブラシ」でゴミを集めて「ワイドブラシ(床ブラシ)」でゴミをかきとり吸引するシンプルな構造です。ダストボックスは0.7リットルの大容量となります。また内蔵フィルターは0.3マイクロメートルの微粒子をキャッチできる高性能タイプです。
バッテリーには「充電式ニッケル水素電池」を採用しており、充電時間は充電時間は約120~180分。連続稼働時間は最大60~90分となります。
上位モデル「ネイト Botvac 85」と下位モデル「ネイト Botvac 75」の違いは「本体カラー」と同梱される「付属品」であり、基本的な機能・性能は2機種とも共通となっています。
ネイト Botvac 85
2014年型「Botvac」シリーズの上位機種。本体カラーは「ホワイト&ラグナブルー」です。
付属品は「アレルゲンカット高性能フィルター(3個)」「2重らせんコンボブラシ(1本)」「シリコンブレードブラシ(1本)」の3点となっています。
ネイト Botvac 75
2014年型「Botvac」シリーズの下位機種。本体カラーは「ホワイト&ブライトライムグリーン」です。
付属品は「アレルゲンカット高性能フィルター(2個)」「シリコンブレードブラシ(1本)」の2点となっています。
ネイト Botvacシリーズついての感想
率直に言ってネイトロボティクス社の日本市場参入は遅きに失した感があります。
同社が「Neato XV-11」を発表した2010年当時は、本格的なロボット掃除機がルンバのみという状態であり、日本市場での勝機は十分に有ったと思います。
しかし現在(2014年)の日本市場は大きく変化しており、強力なライバル製品がしのぎを削る「レッド・オーシャン」と化しています。
たとえば圧倒的なシェアを誇る「ルンバ」シリーズは価格帯に合わせて3つのシリーズを用意しており、これだけで国内シェアを70パーセント以上獲得しています。
またシャープの「ココロボ」、東芝の「トルネオロボ」など、知名度の高い国内家電メーカー製品も家電量販店のロボット掃除機コーナーを賑わせています。さらに2015年内には、ダイソンが同社初のロボット掃除機「ダイソン 360 Eye」を発売するので大きな脅威となりそうです。
もう一つ気になるのはフォアベルク社が販売する「コーボルトVR100」との住み分けです。
「コーボルトVR100」は「Neato XV-11」をベースに開発されたOEM製品であり、見た目も内容も「Botvac」に酷似しています(元々が同じ会社の製品なので当然ですが)。充電式バッテリーに「リチウムイオン電池」を採用するなど、最新の「Botvac」シリーズを上回る部分も見られます。
ビックカメラグループは店舗が多く販売力も高いので、発売当初はそれなりに売れると思いますが、製品のローカライズやサポートを適切に行うなど日本のユーザーにマッチした商品開発を継続しないと、「Botvac」が日本市場で生き残るのは難しいのではないでしょうか。